「もっと生産性を上げよう」
多くの職場で、当たり前のように交わされる言葉です。
ところがこの言葉が使われる場面をよく見ていると、
話題が個人の性格にすり替わっていることがあります。
- あの人は几帳面だから、仕事が早い
- 彼は大雑把な性格だから、抜け漏れが多い
- 計画性のあるタイプと、そうでないタイプがいる
- 感覚派の人には、生産性向上は難しい
生産性向上を掲げているはずなのに、
実際に語られているのは
「あの人はこんな性格だ」という話です。
生産性や効率の話をしているつもりが、
いつの間にか人物評価の話になっている。
この感覚に、心当たりのある人は少なくないはずです。
性格の違いは確かにあるけれど
もちろん、人によって違いはあります。
集中の仕方、好み、エネルギーの使い方。
それらが生産性に影響するのは事実です。
ただ、ここで一度立ち止まりたいのです。
生産性向上がうまくいかない理由を、
性格にだけ結びつけるのは、少し乱暴ではないでしょうか。
「向いていない」
「そういうタイプじゃない」
といった性格の違いが影響するのは、
スキルが土台として揃ったその先の話であると、私たちは考えます。
土台が共有されていない状態で、
得意・不得意だけが語られているのであれば、
解決は難しいのではないでしょうか。
気合とセンスだけでは乗り越えられない時代
生産性向上が難しくなっているのには、時代背景もあります。
情報が多い。
仕事が分断される。
常に割り込みが入る。
これは、今さら目新しい指摘ではありません。
多くの人が知っていて、悩まされていることです。
メール、チャット、会議、資料、通知。
仕事は静かに積み上がるのではなく、
断片的に、同時多発的に発生するものになっています。
問題は、この前提があるにもかかわらず、
生産性向上がいまだに
「個人の工夫」や「性格」に委ねられている点です。
この環境で成果を出すには、
気合やセンスではなく、
情報をどう扱い、どう外に出すかというスキルが必要になります。
生産性向上には、身につけるべき基礎スキルがある
生産性向上というと、
ツールやテクニックの話になりがちです。
しかし本質は、
もっとベーシックな(ある意味地味な)ところにあります。
- やることを頭の中にため込まない
- やることとちゃんと向き合う
- 今やることと、後でやることを切り分ける
- 全体を定期的に見直す
こうした行為は、
才能や性格ではなく、理解と訓練によって身につくスキルです。
にもかかわらず、これらは多くの職場で、
「できて当然」「各自で工夫するもの」として扱われています。
その結果、
スキルの不足は見えないまま、
生産性が上がらない理由だけが、
性格に結びつけられてしまうのです。
では、誰が一番困っているのか?
この話題は、
新人や若手の問題として語られがちです。
しかし、実際に一番困っているのは、
仕事量が多く、責任を多く背負っている人ではないでしょうか。
抱えている案件が増え、
判断すべきことが増え、
頭の中で管理しようとする量が限界を超えていく。
忙しい人ほど、
生産性向上の「やり方」を、
立ち止まって見直す余裕がありません。
だからこそ、
生産性向上は性格論ではなく、
スキルとして扱われる必要があるのです。
まとめ
生産性向上がうまくいかないとき、
私たちはつい性格に答えを求めてしまいがちです。
けれども、
- 環境はすでに複雑化している
- 必要なスキルは明確に存在する
- それが前提として共有されていない
この状況で性格だけを語るのは、
少し乱暴なのかもしれません。
性格を問題にする前に、
生産性向上を支えるスキルを、
本当にスキルとして扱っているか。
私たちは、そこに問いを投げかけたいと考えています。
※本記事は、Crucial Learning社の公開記事を参考に、
Talk to Impact株式会社の視点で日本の組織課題を整理したものです。