「言っても聞いてくれない上司」が増えている
「上司に言っても、結局動いてくれないんです」
研修の場や個別の相談で、こうした声を耳にすることが増えているように感じます。
提案しても変わらない。1on1で話しても流される。
そのうち、現場ではこんな言葉も聞こえてくるようになります。
「言っても意味がないんですよ」
この言葉を聞くとき、私たちはつい「上司が聞いていないのではないか」と考えます。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
「聞かない上司」なのか、それとも
ここで少し視点を変えてみます。
現場から「聞いてくれない」と言われる上司の多くは、
組織の中では中間管理職と呼ばれる立場にいます。
中間管理職は、部下の声を受け止めながら、
同時に上層部からの方針や期待にも応えなければなりません。
その役割の中で、ある状況が生まれることがあります。
それは、「聞くこと自体が難しくなる瞬間」です。
たとえば、部下の提案や問題提起を真剣に受け止めれば、
次には「どう対応するのか」という期待が生まれます。
しかし中間管理職の多くは、
- 予算を決められるわけではない
- 人員配置を自由に変えられるわけでもない
- 組織方針を決定できる立場でもない
という現実の中にいます。
そのとき、起きるのはこんな状況です。
聞けば責任が生まれる。
しかし、必ずしも動けるわけではない。
この矛盾の中で、人は無意識のうちに
「深く聞かない」という選択をすることがあります。
問い直してみたいこと
もちろん、すべてのケースがそうだとは限りません。
実際に耳を閉ざしてしまっている上司もいるでしょう。
それでも一度立ち止まって考えてみたいのは、
私たちが見ているのは
「聞かない上司」なのか
それとも
「聞けない役割」なのか
という問いです。
もし後者の要素があるとすれば、
個人の姿勢だけを変えようとしても、
状況はなかなか変わらないかもしれません。
まとめ
「言っても意味がない」という言葉が広がるとき、
職場の対話は少しずつ静かになっていきます。
しかしその背景には、
- 個人の問題だけではなく
- 役割の置かれ方や組織の構造
が影響している可能性もあります。
私たちはいま、
「聞いてくれない上司」という現象を見ています。
けれど、その背後にあるものが
個人の姿勢なのか、構造の問題なのか。
その違いを見つめることから、
対話のあり方を考え直すことができるのかもしれません。
※本記事は、Crucial Learning社の公開記事を参考に、
Talk to Impact株式会社の視点で日本の組織課題を整理したものです。